法令遵守・コンプライアンス遵守が求められる中でおきたのが、ビックモーターの一連の騒動です。もう1年が経とうとしています。国交省は再発防止と消費者保護を目的とした、有識者による検討会を発足させました。検討の結果がガイドラインとして、4月早々に発表されました。整備振興会HPのお知らせにも掲載されています。 

 ガイドラインは一般的な世間常識から言えばあたりまえの内容ですが、業界的には厳しいものとなっています。今後はガイドラインが業界の常識となり、司法判断もガイドラインに沿っておこなわれると予想されます。私個人としての最大の関心は、ガイドラインに沿った一連の作業コストを誰が負担するのかです。入庫から納車までの一連の作業の流れを、使用部品や使用塗料も含めて事後検証できるように、電磁記録として一定期間保存すること、そして消費者に対しての説明責任が求められています。とてもボランティアでやれる内容ではありません。

「車体整備の消費者に対する透明性確保に向けたガイドライン」要約

1 車体整備事業者が実施することが求められる取り組みとして

2 入庫時・作業時・完成時など、段階ごとの画像情報の電磁的記録と保存
 2.1  段階ごとに車両を特定できる情報(ナンバープレートなどを含めた画像)
 2.2  交換部品が新品・純正品であることを示すマーク等の画像
 2.3  使用した塗料などの画像等

3 車体整備作業の内容・方法等に係わる情報の電磁的記録と保存
 3.1  作業開始前の受付表や作業指示書等
 3.2  作業実施後の車体整備記録簿や作業記録簿等
 3.3  事前に考えていた作業内容に変更があった場合の理由書
 3.4  当該情報の記録者又は作業実施者が明らかであること

4 車体整備料金に係わる情報の電磁的記録と保存
 4.1  事前見積書、精算見積書、納品請求書等
 4.2  事後検証できるように一定期間保存すること

5 消費者への適切な説明と消費者の了承
 5.1  作業開始前・作業実施中・作業実施後・車両引渡後の各段階において、消費者に対して、適切な説明をおこない了承を得ること