遅ればせながら、本年もよろしくお願いします。昨年は時代の流れを実感する年でした。今年は変化が更に速まると考えています。今のところ概ね想定内の方向に変化していますので、自社経営に関しての不安はありません。欲をかき過ぎなければ、利益が出せる状態を維持できると考えています。 

 昨年から興味深く見ているのは、BM社の騒動に端を発した、損保と修理工場の関係性の変化です。一連の騒動で最も大きかったのは、損保の異常性が表に出たことです。一般常識から見て、組織としての損保がおかしいことは、多くの修理工場が昔から知っていました。損保を無視するわけにもいきませんから、どうにかして折り合いをつけてきたのが現実です。協定現場の工場担当者も、良識ある損保アジャスターも、どちらも苦労していたわけです。

 騒動後の目に見える変化として、損保アジャスターが従来以上に作業途中の画像を欲するようになりました。説明責任を果たさなければと、過剰なほど反応する修理工場が多く出ています。見積の作業項目で工賃が発生する作業は、決まりきったものまで全て写真撮りするなど、異常としか思えません。修理工場と損保の双方に説明責任があり、必要な説明責任を果たしていないのは、どちらかと言えば損保です。

 指数値の正当性に関しても、指数対応単価の設定に関しても、修理工場の疑問に対しての真面な回答は一切してきていません。損保の主張する単価で試算すると、作業者の年収は400万にも達しません。若い人は業界に入ってきません。入ってきても数年で辞めます。息子は他業種に就職させます。定期的に設備更新をする工場も、ほとんどありません。法定労働時間では利益が出ません。BM社の問題も、全ての根源がここにあります。

 鈑金塗装業の再生に必要なのは、先ず損保が説明責任を果たすことです。修理工場も納得いく説明をするように、損保に要求し続けなければ駄目です。作業現場の生産性を上げて対応するのは限度があります。日本車は世界中を走っていますが、自研指数を使っているのは日本の鈑金塗装業者だけです。こんな低い作業数値は、他の国では使いません。