10年前なら胸を張り、俺は鈑金屋と言えました。数年前からは何屋か分からなくなってきました。エンジン屋さんみたい時もあれば、中古車屋さんみたい時もあります。土日の午前中はレンタカー屋さんです。昔は1日最低3台は手をつけていましたが、今は1日1台作業するのがやっとです。作業現場より事務所で商談したり、事務処理したりする時間が増えました。
久しぶりにドアのインナートリムを外して思ったのは、今の軽自動車は、一昔前の外車並にクリップがきついなと。軽のトリムは簡単に外れるイメージがあったのですが・・・(^_^;) これが外れない。無理に引っ張ると、インナートリム本体が千切れそうな感じが・・・(;’∀’) クリップ外しで慎重に外していきましたが、かなりの時間が掛かります。クリップも大半が再使用不可です。これで0.3か。トリムを破損させるリスクまで考慮したら、美味しい仕事でもないなが実感です。
何故きついのかを考えると、各部品の精度が上がっているためと思います。クリップが当たるピッタリの位置に、クリップの径とピッタリの穴が開いている。殆ど遊びがありません。遊びが無いから、走行中のカタカタ音も小さい。目に見えない部分も、進歩し続けています。でもこれは鈑金屋泣かせです。
最近の車は前後バンパーをはじめ各所に、プラスチックのクリップが使われています。製造ラインでは楽でしょうが、修理で取り外そうとすると大変です。簡単には外れないし、無理に引っ張ると、軽のバンパーあたりは千切れそうです。軽量化で、極限まで厚みを絞ってあります。更に困難を極めるのが、修理後の組み付けです。バンパーなら取付部位のクリップ各所の位置が、バンパー側と三次元でピッタリ合っていないと、隣接パネル各部のチリが合いません。遊びが無いから、簡単には調整できません。
パーツの取付ボルトの数が減り、代わりにクリップの数が増えてきますので、従来より指数値が増えることはありません。しかし修理の難易度は上がっています。指数値と現場のギャップは、増える一方です。クリップ類に関連した基表値を見直して、倍くらいに設定しないと不味いですよ。